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偽文士日碌


アンカ」の最初の原稿はそれ以前に渡していたのだが、その後延び延
びになって、とうとう半年経ってしまった。聞けばなんと千二百頁、
厚さにして五センチを超えるという冊子になるらしい。結局八月十日
前後の発売になるそうだが、いやはや発行予定がこんなに遅れること
も珍しいだろうね。太田君のところへは毎日のようにまだかまだかの
電話があるそうで、わがファン連中も呆れ返っている。太田君は謝る
ことしきり。
 太田君が今日来たのは広告用のおれの写真を撮るためで、カメラマ
ンをつれてきた。さらに発売記念のマグカップを作るとやらで書名落
款をさせられる。ラノベの方ではイラストレーターのことを絵師とい
うのだが、その絵師のいとうのいぢのサインとおれの書名落款、それ
にビアンカの絵の入ったマグカップなのだそうだ。いとうのいぢさん
とは一度だけお目にかかっていて、太田君も一緒に東大医学部に八代
氏を訪ねていろいろ取材させてもらっている。
 そのいとうのいぢさんと一緒にサイン会をやらないかという話も出
た。八月下旬にやりたいと言うのだが、まさか「ファウスト」がそれ
以上遅れることはあるまいね。実現すれば何やら大騒ぎになりそうな
予感がする。何しろいとうのいぢ、大変な人気なのである。
 そうそう。最後に「iPS細胞」のわが推薦文を紹介しておこう。
「学究のみごとな誘導で読み進めば 六章以降は圧巻 これは不老不
死へと疾走するiPS細胞研究の現在とその全貌だ」
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