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偽文士日碌


 ビッグバンド大好き人間としては見逃せません。東急文化村オーチ
ャードホールの「山下洋輔スペシャル・ビッグバンド・コンサート」
へ行く。舞台に居並んだ面面、「ジャズ忠臣蔵」での共演者が多くて
嬉しくなる。即ちトランペットのエリック宮城、木幡光邦、サックス
の川嶋哲郎、トロンボーン・編曲・指揮の松本治など。
 凄い音でエリントン「ロッキン・イン・リズム」が始まってすぐ、
純白の三揃いで山下さん格好よく登場。次いでビッグバンドでは滅多
にやらないビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビー」が三拍子
と四拍子を効果的に越境しながら演奏され、ここでコンボのメンバー
のみが残って山下さんの御機嫌な曲「グルーヴィング・パレード」と
なる。で、第一部の最後がお待ちかね「ボレロ」である。山下さんの
解説では、松本氏の編曲でとんでもないことになったということだっ
たが、なるほどこれは脱臼された「ボレロ」だった。ダレた演奏が面
白かったが、最後はやはりいつもの盛り上がりで終る。
 休憩時間中、最後はああなるしかないのかと隣席の玉木正之に話す
と、彼は「ロレボ」というのを知っているかと言って、こんな話をし
てくれた。フランスで「ロレボ」と称して「ボレロ」を逆にやったと
いうのである。大音響のラストから始まって次第に楽器が減り、演奏
者が退場していき、最後は指揮者がリコーダーを吹いたらしい。大受
けだったというが、フランス人はおかしなことを考えるものだ。
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