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偽文士日碌

八月二十五日(月):47-48

 昨夜はひどい目にあった。
「ビーバップ」の収録のため、いつも月に二度は神戸に帰るのだが、
通常二時ごろ家を出るところを、昨日は伸輔一家が来ていたため、五
時に出発して全員で東京駅まで来た。逗子へ帰る伸輔一家と別れ、自
動販売機で新幹線の乗車券を買い、ちょうど十分後の六時十分に出る
博多行きのグリーンで、光子のお気に入りのN700だったから、運
がいいなどと言いながら中央口を入ると、どうも様子がおかしい。人
がいっぱいで、階段に腰かけていたりもする。案内板を見ると、なん
と四時十五分発の列車がまだ出ていないのである。電光表示によると
小田原・三島間で豪雨があり、運転を見合わせていたが、九十分遅れ
で再開したとある。この調子では二時間待ちになると思い、あわてて
弁当をふたつ確保する。いつもなら新神戸で降りてからクラウンプラ
ザ・ホテル(旧新神戸オリエンタル・ホテル)内のレストランで食事
するのだが、着くころには確実に閉店している筈だ。
 列車は次つぎに発車し、足止めされていた列車も最初のが到着して
人が降りてきた。ひどく不機嫌なやつ、薄笑いをしているやつ、ふら
ふらのやつ、さまざまだ。電光案内板の下の柱のうしろで光子をキャ
スターに掛けさせ、おれは横に立ち、列車の発着を一喜一憂しながら
眺め、時にはプラットホームへ出て煙草を喫うついでに様子を見たり
しているうち、七時三十分になってやっと乗る列車の表示が出た。車
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