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偽文士日碌

三月十七日(火):159-160

「新潮」編集長の矢野優がまた変なことを考え出した。作家何十人か
に一週間ずつ日記を書かせ、一年分を一挙に掲載するのだという。な
るほど一年間の面白い記録になりそうだ。おれは三月十九日から二十
五日までを割当てられた。そんなわけで、このブログもその間は確実
にご無沙汰となる。いずれこの日記が本になる時には「新潮」掲載分
も組み込まれることになるだろう。
 なんだか企画というものは一度にカチ合うものだなあ。このブログ
と「新潮」の日記がカチ合ったかと思うと、「朝日新聞」の「漂流―
―本から本へ」で本の紹介をする企画も、テレビ東京の「ジャパン・
オールスターズ」の新コーナーの企画とカチ合っちまった。おかげで
同じ本を避けるために苦労しなければならない。「ジャパン・オール
スターズ」の方で夏目漱石の「坊っちゃん」をやるから「朝日新聞」
の方は「吾輩は猫である」をやるといった按配である。さいわい太宰
治「人間失格」と芥川龍之介「河童」は朝日でやるつもりはなかった
からよかった。今日は「坊っちゃん」と「河童」の下調べをやる。読
んだのはもう何十年も前だから、こまかい部分を忘れてしまっている
のである。 
 そのあと朝日用の連載第二回「江戸川乱歩『怪人二十面相』」を書
く。連載開始までに三回分くらいは書き溜めておかねばなるまいね。
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