偽文士日碌

　昨日から伸輔が家族三人で泊っていたのだが、今朝起きると光子も
含めて全員がすでに、いわき湯本へ出発していた。昨日はテレビ東京
「１００人の日本人」の収録があったので、その疲れで早く寝てしま
い、深夜に起きて伸輔夫婦とちょっと話した時には恒司はすでに寝て
しまっていたのだ。
　ひとりで軽く朝食。そのあと、新潮文芸振興会の理事会へ。タクシ
ーで帝国ホテルへ一時前に到着。新潮社の社長や、今は偉くなってい
る昔なじみの編集者たちと少し話す。理事会では阿川弘之をはさんで
おれと養老孟司の、出席した三人の理事が並んで座り、あとの席に阿
刀田高をはじめとして評議員たちが居並ぶ。北杜夫は車椅子なので末
座にいる。阿川さんは元気そうだった。
　佐藤社長（理事長）の挨拶のあと、事業報告や収支決算や事業計画
などが述べられ、次いで隣室の、昼食を兼ねた懇親会に移る。おれは
堤清二（辻井喬）、高井有一、山田太一と同じテーブルになる。みん
な個性が際立っていて、話は面白かった。この昼食には三島賞や山本
賞の選考委員も来ていて、町田康にも会う。
　三時半に帰宅。五時に光子から電話。すでに水族館へ行き、旅館へ
着いて、露天風呂つきの部屋に落ちついたとのこと。
　冷蔵庫にあるもので夕食。ムービープラスでぺネロぺ・クルスの
「ボルベール <帰郷>」（スペイン映画）を見て一時半就寝。