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偽文士日碌

七月二十四日(金):205-206

 角川書店の新名新が迎えに来てくれて、日比谷のワーナー・ブラザ
ース試写室へ。マスコミ関係者で満杯だ。聞けば五十人ほどが入場で
きず、ことわったというから、えらい評判である。大劇場での試写会
には二千人が入り、立ち見や通路に座るなどして、終るとすごい拍手
であったともいう。ここでも入れない客が出て、二回上映したとやら
である。
 細田守監督の新作「サマー・ウォーズ」は、のっけからワーナーの
タイトルでわくわくさせられてしまう。出だしも自信たっぷり、面白
いぞという期待を否応なしに抱かせようという魂胆。
 今回は予算もたっぷりあるため、コンピューター内の仮想世界の映
像も思いっきり凝っている。さらには地方の旧家の豪邸も、多過ぎる
ほどの親戚もよく描けている。そのたくさんのキャラクターの描き分
けがまた、みごとである。富司純子が声をやっているお婆ちゃんなど
は特にキャラが立っている。
 旧家を中心とした古い世界の最も美しい映像と、最新のバーチャル
の最も尖鋭な映像が交互にあらわれる効果には、すばらしいものがあ
る。「時をかける少女」から三年。通常それだけ時間が経てば忘れら
れてしまうという業界にあって、「時かけ」はいまだに話題になり続
けていて、細田守、その間慌てず泰然とし、悠悠と自分の仕事を成し
遂げた。いやもう、たいしたもんだ。
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