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偽文士日碌

八月二日(日):211-212

 テレビ東京「ジャパン・オールスターズ 百人の日本人」収録。
 最初の、三十四回めの撮りの「日本人ならこれを読め」で丸谷才一
「女ざかり」をやる。現存する現役作家の作品は初めてだ。これは八
月二十八日放送。
 次が順序を入れ替えて、三十三回めの、ちょうど百人めを撮る。五
十人めは王監督だったが、百人めは黒澤明監督である。まずスタジオ
で薬玉を割るなどのオープニングを撮ったのち、全員ロケバスに乗っ
て横浜へ。元町の「梅林」という、黒澤監督ゆかりの料亭で収録。
 監督と親しかった老齢の女将の思い出話を聞きながら、監督が好ん
だという料理を頂戴する。大変豪勢な料理で、とても食べ切れぬほど
だ。最後にでかいステーキが出てきた時にはみな悲鳴をあげていた。
そのあとさらに伊勢海老の蒸しご飯が出る。テレビ東京、この間は視
聴率が十パーセントを越えたとかで景気がよく、気前がいい。
 レギュラーの中で黒澤作品を見ていないというのが何人もいて、あ
きれ返る。おれみたいに全部見ているというのは例外としても、せい
ぜいが一、二本。むしろ外人記者四人の方がたくさん見ていて、彼ら
もあきれていた。恥ずかしいことだ。おれは「見ていない者は料理を
食うな」と叫んでしまう。
 これは八月七日の放送で二時間スペシャルである。
 帰途は柳井ジャーマネとふたり、タクシーで戻る。帰宅九時半。
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