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偽文士日碌

八月三十一日(月):221-222

 午後二時、もうすぐ颱風が来るというのに雨の中を、金の星社の人
三人が来宅。わがジュヴナイル作品集の話である。以前、爆発的に売
れた「わかもとの知恵」の時の担当である大河平氏と、今度編集を担
当してくれる池田さんという女性と、下川さんという出版部の人。下
川さんはおれの昔からのファンとやらで、やたらに緊張していた。聞
けば今日おれに逢うというので、朝出社した時からなぜか首が縮んで
いたと言う。
 作品集は全五冊で、主に学校図書館に納入されるらしいが、一般の
書店にも出るという。最初の一冊である「童話集」が来年二月、全巻
揃いが三月の発刊予定。正式のタイトルも装丁者も未定だが、値段は
千五百円と少し高めになるようだ。
 颱風の被害があちこちで出はじめているらしいが、渋谷のわが家近
辺は普通の雨であり、それでもいつ来るかわからないというので、妻
が買物に行こうとしているのをやめさせ、近くのイタリア料理「リス
トランテ・フィオーレ」へ行く。最近いいことが続くので祝いの意味
もある。いいことのひとつは「オール讀物」に連載していた「現代語
裏辞典」が一応最後まで出来たこと。もちろんこれからの手直しもあ
り、実はそれが大変なのだが。
 帰途、雨はやんでいたが、急に温度が下がって寒いくらいになって
いた。もう九月か。早いなあ。
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