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偽文士日碌

九月十六日(水):225-226

 イチローは偉い。何が偉いと言って、あんな大記録を樹立しながら
も、そのことを問われてきちんと自分の言葉で説明できることだ。他
の選手のように自動的なことばで返すことをしない。自動的というこ
とは、そのことについて言葉で何も考えていないということである。
だからイチローは時に、文学者のように見えることがある。
 ところで、今、書いているこのブログというもの、どうも不便であ
る。客が新しい仕事を持ってきてくれても、それを書くことができな
いのだ。公式発表までしばらくお待ちを、とか、記者会見が終るまで
書かないでくださいとか。結局日常のことしか書けないのは退屈なこ
とである。
 しかし今日は書けるから嬉しい。
 四時半に新潮社の石井昂と矢野優がハイヤーで迎えにきてくれて、
光子ともども横浜・本牧へつれて行かれる。隣花苑という、足利時代
の建造物である田舎家を伊豆から移築した瀟洒な料亭に案内された。
囲炉裏があり、開け放された座敷からは野牡丹の咲くすばらしい庭が
見渡せる
 実は例の「アホの壁」を、いよいよ本当に書くことになったのであ
る。以前このブログで「書けそうに思えるのは『アホの壁』くらい」
と書いたところ、あれを読んだ石井氏がさっそくやってきて、おれの
着想に賛意を表し、さっそく書いてくれという話になったのだ。
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