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偽文士日碌

十一月二十八日(土):251-252

 この間貰った薬がみごとに効いたので、その報告かたがた予備の薬
を貰いに原宿皮膚科へ。ちょっと油断するとまた出るのである。
 昨日は近くのロカンダ、フィオーレなどイタリア料理店のテラスで
朝日新聞の写真撮影。大上記者にカフカ「審判」、カント「判断力批
判」、フィニイ「盗まれた町」の原稿を渡し、乃村工藝社での写真を
渡した。その次が三島由紀夫「禁色」とメイラー「裸者と死者」にな
るので、早いうちに読みはじめる。昔、「裸者と死者」を読んだ時に
はこんなに分厚い本とは思わなかった筈だ。抄訳ででもあったのだろ
うか。
 午後、伸輔一家が来る。伸輔がヘアカットしてきた後、家族全員で
市ヶ谷にオープンしたミヅマアートギャラリーのニュー・スペースへ
行く。展覧会には伸輔も小品三点で参加している。ギャラリー中央の
スペースは天井が四メートルもあり、ここは音がよく響くので音入り
の展示物を出している。会田誠、山口晃があいかわらず面白い。 
 夜は家で夕食。恒司はひらがなを書けるようになった。漢字はすら
すら読めるのだが、まだ書くことはできない。束見本(ハードカバー
で中身は真っ白の本)をやると、さつそく絵を描きはじめた。おれは
ウィスキーを飲むが、あとの三人は今年は出来がいいと評判のボジョ
ーレ・ヌーボーを飲む。
 就寝十二時。
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