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偽文士日碌

六月五日(土):309-310

 朝がた、まだ蒲団の中にいる時、何やら階下で聞いたような男性の
声がして、光子と話している。誰だろうと思っていたのだが、「筒井
康隆の『仕事』大研究」を監修してくれた平石滋であった。おれの発
言集というものを超厚いファイルにして持って来てくれたのだ。まだ
寝ていると聞き、すぐに帰ってしまったらしい。
 午後、朝日ネットの森田君たちがまた来てくれて、インターネット
接続が可能になった。やれやれである。早速朝日の大上さんにプリン
トアウトした原稿と写真を送る。一日に届いていた大江さんからの手
紙にも返事を書く。ついでに伸輔の個展の案内状も同封する。光さん
は音楽家になり、わが息子は画家になったのがなんとなく面白い。
「現代語裏辞典」のゲラを直し、謝辞を書く。着想を提供してくれた
わが会議室の連中の名前とハンドルネームをすべて列記する。なんと
四十二人である。この人たちはおれが行き詰まった時に「お助け」と
称してアイディアを募った時に力を貸してくれたのであり、この人た
ちがいなければ「裏辞典」の完成はなかったであろう。感謝感謝であ
る。
「井上ひさしさん お別れの会」という案内状も来ていた。ビーバッ
プ収録の翌日だ。朝早く起きるのは大変だし、収録後は新幹線に乗れ
るかどうかわからない。とりあえず出席の返事だけ出しておく。   
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