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偽文士日碌

八月十九日(木):349-350

昼過ぎに家を出発。家族五人、タクシーで東京駅八重洲口へ。こだ
まで熱海まで来て伊豆線に乗換え、城ケ崎海岸で降りる。ここからタ
クシーで国立公園城ケ崎の吊橋に行く。吊橋の中ほどまで進んで大宝
山からの火山流でできた崖などを見る。恒司は伸輔と一緒に岩の上ま
で登る。
 待たせておいたタクシーで川奈の温泉旅館「月のうさぎ」に到着。
案内されたのは二階建ての一軒家で、ひと棟におれたち夫婦、隣のひ
と棟に伸輔一家。どちらも同じ造りで、一階がプールのような露天風
呂のある庭を見渡せる座敷で、二階が寝室である。こういう旅館は珍
しい。さっそく露天でひと風呂浴びる。
 家族揃って母屋の一部屋で夕食。先附が冬瓜、鶏肉、黄身の味噌漬
などのコンソメ・ゼリーかけ。地魚の刺身、伊勢海老と栄螺の陶板焼
き、鮑の踊り焼き、ふじやま和牛のステーキ、飛魚と鰻の茶漬けなど
美味珍味が盛り沢山。恒司はまたしてもひと口食べただけでぐうぐう
寝てしまい、料理がなんとも勿体ないことであった。
 また湯に浸り、おれのみマッサージにかかる。九十分揉んでもらっ
たらふらふらになった。
 明日、伸輔たちは下田の水族館へ行って海豚と戯れる。おれたち夫
婦は川奈駅で別れて東京に帰ることになる。
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