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偽文士日碌

八月三十一日(火):359-360

 昨日は朝日新聞出版の池谷真吾が、文藝の芝田編集長をつれてやっ
てきた。「漂流」の出版打合せである。今年は本が出過ぎたので、発
行を来年一月とさせてもらう。新聞連載した作品は、本屋やamaz
onよりも新聞販売店でよく売れるのだと聞かされた。朝日新聞出版
は本社から独立して別会社になり、以後は売る気満満になっていると
も聞く。
 夕刻、東大の宇宙航空工学大学院へ行っている甥っ子、松野賀宣が
やってくる。夏休みだが、たいてい毎日研究室へ行き、航空機の模型
を作っているのだと言う。JAXAへ行って宇宙飛行士になるのが夢
であるが、なかなか最初から宇宙船の模型などは作らせてもらえない
ようである。
 光子と三人で「重よし」へ行く。四年前、ご両親ともども東大合格
をこの店で祝ったのがほんの数カ月前のようだ。それが今や大学院一
回生。早いものである。大学院は二年で終了。それから三年かかって
博士過程を履修すると言う。その時は二十八歳になっているわけだ。
でもそれがJAXAへ行ける確実な道ならしかたあるまい。しかもJ
AXAは入るのが難しいらしい。去年も今年も、一人も入れなかった
という。研究室には五十人もいるのだから、たいへんな競争だ。だが
賀宣、自信があるらしくてにこにこ笑っている。たいしたもんだ。
 朝食用の弁当を持たせて賀宣を送り、帰宅九時半。
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