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偽文士日碌

九月二十三日(木):371-372

 十一時十五分、光子とタクシーで出発。光子をディオール前で降し
て、おれは兵庫県立美術館へ。十二時着。水木しげる展をやっている
ので子供が多い。中村貞夫の「黄河展」の展示場へ行く。中村貞夫が
迎えてくれる。今日のもうひとりの講師である、前大阪大学総長の鷲
田清一氏とは旧知の間柄である。展示されている巨大な絵画の膨大な
数に圧倒される。黄河の源流から河口に向って旅をしたと言う。最後
は河口の絵で終る。
 レストランで食事をしながら打合せをし、控室へ。申込制の客席は
早くに満杯となり、補助椅子まで出したという。二時、開会。おれが
最初に出て、中村貞夫との交遊歴を三十分話す。中村貞夫とは大阪市
内の小学校の知能指数の高い子ばかりを集めた特別教室以来の友人で
あり、中学校もずっと一緒で、作家になってからは画集を送ってもら
ったり、伸輔の絵を見に来てもらったり、新聞連載のカットを描いて
もらったり、彼の富士山の絵を買ったり、というつきあいであった。
 終了後の茶席で、特別教室の友人たちと出会う。みんなそれぞれ偉
くなっていて、引退後もすばらしい貫録の人物ばかり。懐かしくて嬉
しいひと時であった。
 六時に帰宅すると、光子が誕生祝いだというのでディオールのペン
ダントをくれた。明日二十四日は誕生日なのである。
 明日からまた上京。
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