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偽文士日碌

十一月十二日(金):393-394

 朝は雨が降っていた。紅葉や銀杏の黄葉が美しい。八時に昨夜の部
屋で朝食のあと、九時に出発。昨日の道路を京都まで戻り、京都東か
ら名神高速に乗る。草津田上からは初めての新名神に入る。出来たば
かりで綺麗な道路だ。大峡谷の間を抜けると山山が霧に包まれていて
物凄い。信楽あたりから晴れてくる。三重県に入り、亀山から伊勢線
に入る。鳥羽で高速を降り、賢島へ行く。久しぶりである。
 貝類を焼く小さな店が並んでいて、新さんたちが以前来たことのあ
る「海女小屋ちさと」という店に入ると、おかみは新さんのことを憶
えていた。ここで蛤、大あさり、牡蛎、伊勢海老、あわび、サザエな
どを次つぎに焼かせて食べる。これをやりたかったのである。
 鳥羽アクアリウムを覗いたあと、鳥羽から伊勢湾フェリーに乗る。
伊勢丸という船だが、乗客は少ない。有料の特別室、広いラウンジで
のんびりする。このフェリーは九月にいったん廃止することになって
いたものの、やはり運航することになったらしい。ここから三河の伊
良湖までには四つの小島があり、いちばん大きな答志島が左手に見え
る。人口二千八百人だと言う。さらに右手の神島というのは三島由紀
夫の「潮騒」の舞台となった人口五百人の島で、小説では歌島となっ
ていた。見るとビルなども建つなかなか立派な島である。黄砂の影響
だろうか。遠くは霞んでいてよく見えない。
 渥美半島の突端、伊良湖に五十五分で到着。ここからは四十二号線
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