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偽文士日碌

十一月十三日(土):399-400

うものが催されていた。
 ふたたび信楽インターから入って草津から名神に入り、京都東で出
る。山科である。京都に来ると南禅寺の紅葉が色づきはじめていた。
岡崎の法勝寺町にある洛陽荘に到着。この旅館は大正時代に建てられ
たもので、山階鳥類研究所で有名な山階子爵が邸宅として居住。平成
十五年に数寄屋造りの東屋を建増して「洛陽荘」としてリニューアル
オープンした。和服の女将が出迎えてくれる。いったんわれわれ夫婦
の荷物だけ置いて、新さんの歯科医院へ行き、一服。五時、タクシー
で四人、八坂神社に詣でる。懐かしや同志社時代に芝居をした祇園甲
部歌舞練場まで四条花見小路を歩いて、鶏料理の「侘家古歴堂」に入
る。この店は光子が「ヴァンサンカン」誌で、焼鳥の旨い店として京

都吉兆のご主人が推薦されていたのを見て、喜美子さんに頼んで予約
してもらったのだ。カウンターに掛け、炭火焼きのコースを頼み、お
れは「明るい農村」や「農家の嫁」などの芋焼酎を飲む。鶏は侘家鶏
といって、鳥取の大山の麓で育てたオリジナルの雌鶏であり、串焼き
はつくね、ささみ、ねぎま、砂肝のニンニク挟みなど、いずれも美味
である。おれは砂肝を追加で戴く。我ながらよく食べるのに驚く。
 新さんたちにタクシーで送ってもらい、洛陽荘に戻る。数寄屋バー
へ行き、女将の接待でおれはビールを戴く。女将といろいろ話す。こ
の加畑有香子さんは子育てを終えた素人の人妻なのに女将としてスカ
ウトされたという才媛である。光子は浴場に案内され、ひと風呂浴び
てきた。就寝十一時。
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