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偽文士日碌

十二月二十一日(火):423-424

 昨夜のニュース番組で、ご存じ前ニューヨーク支局長の手嶋さんが
おれと同じことを言っていた。米軍基地が国外は駄目、沖縄県内も駄
目というなら、今問題になっているあの島に移設するしかないではな
いかと言うのである。尖閣諸島のことであろう。大変な金がかかりま
すねとキャスターが言っていたが、なあにおれの試算では、国民ひと
りが八千二百円出せば建設できる筈だ。
 先日の菊池寛賞でのおれの挨拶を、どうやらホテルオークラの人が
聞いていたらしい。丹羽君を通じて講演会の依頼があった。これは断
るつもりである。パーティ会場が禁煙で、喫煙には屋外へ出なければ
ならぬなんてホテルで、誰が講演なんてするもんか。
 中央公論新社・書籍編集局の三人がやってくる。小林局長、石田局
次長、そしてわが担当・並木光晴である。作家生活五十周年記念とや
らで、わが最初の短篇集「東海道戦争」の文庫本を立派な革装本、函
入りにして三冊を渡される。冷しておいたドンペリで乾杯し、キャビ
アなどでもてなす。愉しく話したのはいいが、やはり昼間から酒を飲
むと、あと眠くなって困る。と言って、眠れないし、とうとう何の仕
事もできなかった。
 夜、朝日の大上朝美から電話。「漂流」に関して大江健三郎と対談
してくれと言うのである。大江さんは乗り気だと言う。丸谷才一にも
声をかけるらしいし、これはやらねばなるまい。
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