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偽文士日碌

一月三十一日(月):433-434

「聖痕」で枕詞を多用するため、伸輔に「枕詞逆引き辞典」の入手を
頼んだのだが、三種類ほどある筈の逆引き辞典がいずれも絶版品切れ
で、古書店にもないと言う。それだけ求める人が多いということなの
であろう。しかたがない。あちこち調べて自分で作ることにした。時
間がかかるが三か月くらいでできるだろう。その間「聖痕」の執筆は
休むことになる。しかしこれ完成して本にしたら売れるだろうなあ。
どこか出すところはないか。
 午後二時、どやどやと六人来宅。ビームスというところが出してい
る「In The City」の取材である。プロデューサーの永井
秀二、編集長の堀口真由美、そのご主人の川崎大助、カメラマン、そ
れに文藝春秋の丹羽・清水の両君まで一緒にやってきた。四十年前住
んでいた頃の原宿について何やかやと訊かれ、光子に助けを求めてあ
の頃の店やファッションのありさまなどを話す。家で和服の写真を撮
ったあと、洋服に着替えて外へ出る。寒かった。遊歩道で撮り、コロ
ンバンの前まで行ってまた撮る。「In The City」という
のは謳い文句がいまこそ「書を街に連れ出そう!」という新書判の大
きさの文芸雑誌であり、阿部和重や中原昌也が書いている。文藝春秋
のバックアップがなければ成り立たない雑誌であろう。
 夜は豆腐の野口屋がリヤカーで売りにきた納豆、厚揚げなどの健康
食。
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