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偽文士日碌

七月七日(木):477-478

 一昨日は「群像」の新編集長・佐藤とし子が須田美音と一緒にやっ
てきた。今日は「文學界」の新編集長・田中光子が大嶋由美子と一緒
にやってきた。編集長も担当者もすべて女性だ。文芸誌の編集長で今
や男性は「新潮」の矢野優だけ。「群像」の編集室では男性が一人だ
けだし、「すばる」に至っては全員女性だと言う。そういう時代なの
であろうか。だいたい男が駄目過ぎるのである。
「群像」からも「文學界」からも作品を乞われ、困ってしまう。今日
などは危く「繁栄の昭和」を渡してしまいそうになった。いやまった
く、危い危い。実は一昨日、群像から作品を求められた時、どうせ今
日も作品を乞われるであろうと思い、何か書かなければと切迫感に囚
われて、以前から書き溜めていた「小説に関する夢」または「文壇に
関する夢」を原稿にしはじめている。どちらに渡すかは状況次第であ
る。タイトルは未定だが「小説に関する夢八夜」といったものにしよ
うと思う。とにかくすべては発表先未定の長篇「聖痕」の嫁入り先次
第なのである。 
 田中光子さんとは以前からのつきあいだし、妻と同じ名前でもある
ので、編集長就任を祝い、同行してきた出版部の丹羽君や妻も加え、
五人、シャンパンで乾杯する。キャビア、チーズ、焼穴子、大嶋さん
が買ってきたパテなどを食し、広間から茶の間に場を移してさらに焼
酎やワインを飲む。大酔。
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