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偽文士日碌

九月二十三日(金):495-496

 昨日は台風のために増水した川を次つぎに眺めながら、新幹線で上
京。
 午後二時に、講談社から独立して星海社の重役となった「ファウス
ト」の太田克史が、アニプレックスの岩上敦宏を伴ってやってきた。
この岩上君も、三年前に来た時よりも出世していて執行役員、第二企
画制作グループの代表である。太田君はわが「ビアンカ・オーバース
タディ」第二回が掲載されている「ファウスト」の八号を、印刷所か
ら直接持ってきた。つまり原稿を渡してから今日まで、なんと三年も
の月日が流れているのだ。あまりのことに、「君は月日的にはまった
く信頼できない」と言うと、しきりに謝っていた。
 そのくせビアンカの続きをできるだけ早くと催促する。「ファウス
ト」は次号で解散らしいが、もう続きを次号に掲載するため三年も待
つことはできないから、勿論、最終回のみは書下ろしで単行本となる
のだ。来年早早に本にしたいので、年内に書いてくれと言うのだが、
何しろだいぶ以前に書いたものだから、内容を忘れてしまっている。
クライマックスのアイディアも失念した。困ったことである。本の体
裁やアニメ化のことなど、いろいろと相談するが、とにかく書くのが
先だ。
 明日は誕生日。なんと喜寿ではないか。祝いに伸輔一家がやってく
る。まだまだ仕事をやらせるつもりなのである。
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