トップへ戻る

偽文士日碌

十二月二十二日(木) :523-524

 金正日の死亡で、新聞は連日大騒ぎである。どうもいやな予感がし
てならない。
 「週刊文春」の編集部次長・高橋夏樹がカメラマンをつれてやって
きた。一月十一日発売の一月十九日号に一ページのグラビアで載るイ
ンタヴューの取材である。今、言いたいこと、最近の世相についてな
ど、いろいろ質問される。最後に現在執筆中、構想中の作品について
訊かれたので、えんえんと書き綴っている長篇のことや、「不在」の
こと、構想中の「三字熟語」のことなどを語る。
「三字熟語」というのは、今話題になっている四字熟語が比較的縁起
のいい熟語ばかりであるのに対し、ふと思いついて調べたところ三字
熟語にはどうもろくな言葉がないので驚き、これを列挙して「三字熟
語の奇」という短篇に仕立てあげようという構想だ。ちょっと紹介す
るだけでも「座敷牢」「往生際」「就職難」「姥捨山」「轆轤首」な
ど、まったくろくなものがない。ちょっといい言葉であっても、こう
いう言葉の中に嵌め込むとたちまち悪い意味になってしまう。面白い
のでいろいろ並べ替えて楽しんでいるが、これ発表したら、こんなも
のは小説に非ずというのでまたまた評判が悪いことだろうなあ。
 中村満が今年もまた新巻鮭を送ってきてくれた。処理がたいへんだ
ったが、なんとか切り身をすべてラップして冷凍庫に入れる。当分は
鮭ばかり食べることになるだろう。
ページ番号: 523 524

「次のページへ」や、「前のページへ」をクリックすると、ページがめくれます。