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偽文士日碌

一月十七日(火):533-534

 午後二時、新潮社の石戸谷渉がコンテンツ事業部の加藤君を伴って
来宅。いやはやヴォルフガング・ペーターゼンという監督はまったく
人騒がせな男だ。何年か前から著者の承諾もなしに「パプリカ」を映
画化するなどと公言し、さらに去年は「パプリカ」の映像化権を得た
などと言うので、驚いた石戸谷君が調査したところ、とんでもないこ
とが判明した。某社のアメリカ代理人が勝手に「パプリカ」をペータ
ーゼンに売込み、ペーターゼンはすっかり権利を取得した気になって
いたのだという。強く抗議を申し入れてもらったところ、話がややこ
しくなってきたのでペーターゼン怖れをなしたか、映画化をあきらめ
てくれたらしい。やれやれである。まことに奇奇怪怪な話であるが、
実はこの件はまだ尾を引いているのだ。引き続いての交渉を石戸谷君
にお願いして、「新潮」矢野優編集長へと「不在」の原稿を託す。矢
野君の読後感が楽しみである。
 午後四時、ホリプロの菅井、平部、宮本の諸君が来宅。大健裕介ま
でやってきた。十九日からMBSで放映の「家族八景」の契約その他
の件。こっちはこっちでまたまた奇奇怪怪な話なのであるが、この話
はいずれまた。新たに書く「メタノワール」という作品に、ホリプロ
所属の深田恭子、宮崎美子、船越英一郎が実名で登場することを告げ
ておく。スタアの実名登場は、昔、五味康祐が一刀斎に「山本富士子
というおかたと寝とうござる」と言わせて以来ではないか。
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