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偽文士日碌

四月九日(月):553-554

「大盗庶幾」のゲラを校正し、「群像」へ返送。掲載は六月七日発売
の七月号になる。その他、対談の依頼だの、エッセイの再録だの、上
演許諾だの、電子書籍化の相談だの、昔、盛光社から出た「時をかけ
る少女」を含む少年SFシリーズ十冊の復刻だの、何だのかんだのの
返事や問い合わせや処理などに追われる。
「創作の極意と掟」というものを書きはじめる。短い「序言」に続き
「凄味」と「色気」の章を書く。あと「揺蕩」「破綻」「濫觴」「表
題」「迫力」「展開」「会話」「語尾」「省略」などと、一応章題だ
けは決めている。小説家としての遺言のつもりで書き残しておくので
ある。どこかへ連載するにしても、ほとんど書き上げてからになるだ
ろう。
 中央公論の関氏他お二人が来宅。名誉な話ではあるのだが、とても
実現不可能、実行不能の課題を持ち出されて、困惑。考えさせてくだ
さいとは言ったものの、おそらくお断りすることになろう。
 遅まきながら斉藤美奈子「文章読本さん江」を読む。「創作の極意
と掟」の参考にするつもりだったのだが、読了し、この手の本の時代
はもう終っていることをつくずく痛感する。島田雅彦は法政大学での
講義録とは言え、よくまあ「小説作法ABC」などという本を出した
ものだ。高橋源一郎も「ニッポンの小説」なんてものを連載している
が、怯えながら書いていることがありありだ。
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