トップへ戻る

偽文士日碌

四月十三日(金):555-556

 十三日の金曜日、変な日だったなあ。銀河三号は爆発して哀号とな
り、祇園の大惨事の原因が加害者の癲癇が原因だったのかどうかいま
だに不明とやらで、警察は殺人容疑に切り替えた。癲癇が原因でなか
ったら何だと言うのだ。捜査がやりやすいものだから警察はよほど殺
人にしたいらしいが、大量殺人の動機がないではないか。
「創作の極意と掟」はあのあと「揺蕩」と「破綻」を書いたが、「省
略」以後も「遅延」「実験」「薬物」「品格」「蘊蓄」「末梢」「諧
謔」「反復」「拘泥」「批評」「異化」「意識」「推敲」「逸脱」な
どと、章題だけはいくらでも出てくる。他にも「生活」「言動」「形
容」「思想」「独白」「介入」「饒舌」「場所」「羅列」「脱臼」な
どが書けそうだ。味噌も糞も一緒にしてごちゃごちゃだから、全部書
いたあとで順序を入れ替えなければなるまいね。おれがそういったも
のを書いていると知った「群像」の須田美音が、保坂和志にも「書き
あぐねている人のための小説入門」という本があると教えてくれる。
アマゾンのカスタマー・レビューで見ると、どうやらおれの参考には
ならないようだ。書棚にディヴィッド・ロッジの「小説の技巧」があ
ったので読み返すことにしたが、主にイギリスの現代文学から多くの
参考例を引用していて、その引用文の解説に終始している。斉藤美奈
子が最も批判していたことをやっているのだ。過去の名作からの引用
はできるだけ控えることにしよう。
ページ番号: 555 556

「次のページへ」や、「前のページへ」をクリックすると、ページがめくれます。