偽文士日碌

　朝日新聞朝刊への連載が急遽決定した。七月十三日からである。な
んと十三日の金曜日ではないか。十二日の木曜日に連載を終える奥田
英朗の悪意ではないかと勘ぐってしまうのだ。
　題字と挿絵は伸輔が描いてくれることになった。武蔵野美大をトッ
プで合格、トップで卒業、ミズマアートギャラリーの秘蔵っ子筒井伸
輔とのコラボであり、はなはだ心強い。内容に相応しい凄い絵を描い
てくれるだろう。
　長篇「聖痕」はほぼ五年がかりの大作であり、連載先を探し求めて
いたのだが、理想の嫁入り先と言える。思えば二十年前、「朝のガス
パール」を同じ朝日の朝刊に連載した時は、読者参加型の小説とあっ
て、ロラン・バルト的に言えば「垂直の大騒ぎ」となったのだった。
今度もまた、読者参加型でこそないが、文体や表現からちょっとばか
り世間を騒がせることになるのではないかと思う。
　実はまだ未完成であり、最近の新聞はどんどん文字が大きくなって
きているから、一回がたったの二枚という短さなので、これにあわせ
て文章を調節しなければならないのも厄介なことだ。七月五日の朝刊
には社告と「作者の言葉」が載り、十日の朝刊にはインタヴュー記事
が出る。なんだか急に忙しくなってきた。一昨日のビーバップの収録
でも宣伝させてもらったが、これは連載開始の前日、十二日のオン・
エアだ。読者の批判や激励やその他何やかやに期待しよう。