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偽文士日碌

七月二十六日(木):573-574

 新聞連載が始まるとこんなに多忙になるとは思わなかった。レター
パックで原稿を送り、メールでデータを送ると、FAXでゲラが送ら
れてきて、さらに疑問がメールで送られてくる。これに返事をしなけ
ればならない。新聞にはルビが入るのだが、そのルビのつけかたが新
聞独特である。「頭を垂れる」というのは、「あたま」ではなく「こ
うべ」と読ませるならルビが必要。この辺はよくわかるが、「神の御
前」は「おんまえ」ならルビは不要で、「みまえ」ならルビが必要。
「見境いなく」だと「みさか」とルビが必要で、「見境なく」だとル
ビは不要なのである。この辺はよくわからない。
「荒げる」は「あらげる」が近年の誤用で、本来は「あららげる」だ
から、「荒らげる」として「あら」とルビを振ると一字増えてしまう
のだが、その行の末尾の句点がはみ出してしまう。新聞では句点のぶ
ら下がりができないから、困ってしまう。「話ししたり」はいけなく
て、「はなししたり」も「はなしたり」も「話したり」でOKなので
ある。読者も指摘してきたのだが、「夜驚」にルビがなく「入口」に
ルビがあるのはおかしいのだが、「入口」は「人口」と間違えやすい
からだろうか。
 新聞のルールはよくわからぬところがある。しかしこれだけはおれ
の一存ではどうにもならない。とにかくルビと文字の増減にはこれか
らも悩まされることになりそうだ。
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