偽文士日碌

　あいかわらず東京と神戸を行ったり来たりしていて、これ、何かに
似ているなあと思っていたのだが、参勤交代であった。江戸の上屋敷
で何やかやと用件を済ませ、妻と二人だけの大名行列で国許に帰り、
ビーバップに出演するなど用を済ませてまた江戸に上る。参勤交代の
行列は二年に一往復だが、こちらは月に二往復であり、参勤交代ほど
ではないが費用も馬鹿にならない。
　今日は七十八歳の誕生日であり、誕生祝いの品や祝いのメールがた
くさん届く。みんなおれの好みを知っている人ばかりだから、本格芋
焼酎、ハム・ソーセージ・ベーコンの詰め合せなど嬉しいものばかり
である。そんな歳になっていることはさほど自覚していない。病気も
せず、家族もみな元気だし、酒は飲み放題、煙草は喫い放題、スポー
ツは一切やらないで毎日パソコンに向って何か書くか本を読むかの日
常である。だからやはり健康にいちばん悪いのはストレスなんだなあ
と思うのである。それにしても世界は何やら騒然としている。そう。
中国が悪い。
　みんな「聖痕」を読んでくれているから嬉しい。オリンピックの長
距離ランナーと一緒で孤独な長丁場だから、励ましながら伴走してく
れる人たちがいると心が休まるのである。連載はもう三分の一に近づ
いてきた。ここでしばらくは最初のだれ場だが、気を抜くわけにはい
かんのである。