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偽文士日碌

十月十九日(金)

 五時に関知良が車で迎えにきてくれる。車内で、今夜の谷崎賞受賞
パーティ会場は中央公論新社の借切りということで喫煙可になったと
のこと。さらにまた次回の選考会もパレスホテルとの話し合いで喫煙
可になったらしい。やれやれである。控室へ行くと文芸賞を取った東
野圭吾が挨拶に来る。高橋源一郎は六歳と八歳の息子をつれてきてい
た。今年から風太郎賞の選考委員になった林真理子が、長大な候補作
が多くて閉口していることを訴えに来る。渡辺淳一は足の具合がます
ます悪くなり、杖をついていて、「情けない」とこぼしている。
 授賞式では鹿島茂と池澤夏樹がそれぞれ文芸賞と谷崎賞の選考報告
をし、受賞者ふたりがスピーチ。あとで、二次会の乾杯の音頭を取ら
された時に言ったことだが、高橋源ちゃんは息子を演壇の前に立たせ
て彼に話しかけるというポストモダンのスピーチで、前代未聞。パー
ティでは大上朝美から文化グループ新人の可愛い女性二人を紹介され
る。宮田毬栄さんには励ましの手紙を頂戴した礼を言い、FAXで伸
輔に送ったことを報告する。角川歴彦など多数の人と話す。阿部和重
・川上未映子夫妻が挨拶に来たが赤ん坊はつれていなかった。ずっと
一緒だった矢作俊彦と二次会の会場へ。綿矢りさと初めて逢い、いろ
いろ話す。バーボンをロックでだいぶ飲む。三次会では編集者たちに
取り囲まれたままで川上弘美、源ちゃんと一時ごろまで話し込む。し
たたかに酔っぱらい、並木光晴に送ってもらって帰宅一時半。
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