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偽文士日碌

十月二十五日(木):587-588

 角川の新名新が迎えにきてくれて東京会館へ。山田風太郎賞の選考
会である。顔ぶれが代って今回からは赤川次郎、京極夏彦に加えて林
真理子、奥泉光が加わった。真理子さん、奥泉君と共に選考するのは
初めてだが、ふたりとも面白い。まず中田永一「くちびるに歌を」と
誉田哲也「あなたが愛した記憶」二冊が落ち、残り三作の点数がほぼ
同点となって紛糾する。この作品に賞をやるくらいならこちら、と自
分の推薦する作品をやめてまで乗り換える委員もいて話がややこしく
なった。結果、山田宗樹「百年法」を落して残りの冲方丁「光圀伝」
と窪美澄の「晴天の迷いクジラ」のどちらにするかでまた揉め、風太
郎賞の性格付けや候補者の人気などという、記者会見などではちょっ
と発表できないような議論に迷い込み、二作受賞が可能かどうかを会
長に訊いてこいとおれが言い、会長は見つからなかったものの社長の
OKが出たというので二作受賞となり、やっと落着した。
 隣接した小部屋で食事をしながら、ニコニコ動画で奥泉君による記
者会見の様子を見る。受賞した冲方丁がやってきて、続いて窪美澄が
担当の新潮社・楠瀬啓之に伴われてやってくる。楠瀬君大喜び。ふた
りの記者会見を動画で見ていると歴彦会長がやってきて同席、会長が
珍しくこんな席で夕食をしながらずいぶん長く、新たにわが書籍の担
当となった郡司珠子と共に、周囲に誰もいなくなるまで話し込む。
 窪美澄の二次会に少し顔を出し、郡司さんに送られて九時半帰宅。
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