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偽文士日碌

三月十日(日):637-638

歳とともに膨らんでいくていのものでしょう。新郎新婦が末永くお幸
せであることを祈ります。最後になりましたが、懐かしい多くの友人
とこんなに一度に会える場を作ってくれた新婦の父上、高平哲郎に感
謝します。サンキュー」
 宴は進み、いよいよジャズマンたちの出番となったのだが、山下君
は酔っていてピアノがはかばかしくない、サックスの渡辺貞夫、坂田
明、中村誠一が困っているのが面白かった。ついに貞夫さんがピアノ
を弾かせず、無伴奏でソロをやり、やっと一件落着。山下君はへろへ
ろ。中村満と上山克彦に抱えられて降壇。「だめだったあ」とおれに
泣きつく。さいわいにもこのホテルに宿をとっているらしいので、中
村・上山両君にあとのことを頼み、宴席をあとにする。おれ自身がそ
もそも昨夜焼酎を飲み過ぎて二日酔い気味だったのだ。
 それにしても洋輔のことが心配である。肝臓も悪く、医師からは慢
性アルコール中毒を宣言されたそうだ。おれより八歳年下でありなが
らなんということだ、普段の演奏活動に支障はないのだろうか。
 家に帰宅後、中村・上山両氏から電話で、無事ホテルの自室に寝か
せつけたという。ほっとしたものの、最大の親友があんな状態になっ
た姿を見るのはつらい。彼の家庭のことをよく知っているので、まる
で胸が締め付けられるようだ。好漢、自重すべし。彼の普段の様子に
ついては中村満が調べてまた報告してくれるという。
 就寝は十一時だったが、心配で寝られず、しかたがないから起きて
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