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偽文士日碌

四月八日(月):643-644

 もうこれで四日、断酒している。
 台風並みの暴風雨になると聞いてあわてて上京を早めたのだが、前
夜、妻が半分飲み残した赤ワインを、深夜、からだに合わぬと知りな
がら勿体ないのでビールに混ぜてがぶ飲みしたのがいけなかった。次
の日、朝食を普通に食べてからおかしくなり、二日酔いというのでは
なく、酔いが抜けぬままの状態になり、顔は真っ赤で足はふらふら、
それでも頑張ってタクシーで新神戸駅まで来たものの、もはや立って
いられず、喫煙場所へ行こうとしたが行けず、なんとか列車に乗り込
んだのだったが、気分が悪くて本も読めず、珍しいことに喫煙ルーム
にさえ一度も行けなかったのだ。これは妻が、アルコールの臭気がひ
どいからそんな臭いでは喫煙ルームへ行くと他の客が吃驚すると言っ
たからでもある。
 東京に着いても気分の悪さは抜けず、早く原宿の家に帰って寝たか
ったのだが、妻に何も食べさせないわけにはいかないから我慢して予
約してあったニューオータニの「ほり川」へ行き、妻の夕食につきあ
う。何も食べられず、ほたる烏賊の酢味噌和えを一匹食べ、最後の焼
蛤の茶漬けを食べただけ。あとは冷えたウーロン茶ばかりを飲んでい
た。マネージャーは勘定がいつもの半分だったので驚いていた。帰宅
した時はもうへろへろ。歳ですなあ。
 これに懲りて、以後四日間の断酒となったのである。
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