トップへ戻る

偽文士日碌

五月十一日(土):653-654

 予報通り、小雨が降っていた。新さんのベンツが到着。例によって
姉妹二人が後部座席、おれが助手席で、八時四十分、わが家を出発。
カーナビがあるので、今までの旅のように迷う心配がない。いつも新
神戸駅へ行く道をしばらく辿り、途中右折して神戸淡路鳴門道に。ト
ンネルを抜ければ早くも明石・舞子大橋だが、小雨と霧でほとんど何
も見えない。淡路島に渡ってどんどん南下する。洲本を通過。
 鳴門海峡を渡り、高松道に入るが、ここはまだ徳島県。雨があがっ
て新緑が眼の保養である。香川県に入ると、田植え姿が見られた。
 津田の松原SAで休憩。喫煙所で煙草を喫い、缶コーヒーを飲む。
高松中央で高速をおり、全員朝食を抜いてきているので、わしょく家
二蝶という店に入り、光子がお望みのすっぽんらーめんというのを食
べる。おれ以外は他に出汁巻きを食べる。カーナビはこの店の電話番
号を打ち込めば店の前までつれてきてくれた。驚嘆すべきものだ。店
長が挨拶に出てきた。すっぽんらーめんは一杯九百五十円。
 また高速でどんどん西へ、西へ。府中湖の橋あたりでまた雨が降り
はじめた。豊浜SAで休息。松山道に入る。霧が晴れ、周辺の山山が
見えてきた。松山ICでおり、今回の目的地である道後温泉に到着。
ふなやという旅館にいったん荷物を預け、さっそく道後温泉本館へ。
ここは何十年も前、まだ新人作家だった頃、「旅」という雑誌の取材
で訪れた懐かしい場所だ。太鼓のある櫓もそのままだったが、老朽化
ページ番号: 653 654

「次のページへ」や、「前のページへ」をクリックすると、ページがめくれます。