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偽文士日碌

五月十一日(土):655-656

が進んでいる。近いうちに取り壊されるのだろう。建物の周囲をめぐ
り、写真を撮る。商店街を通り、姉妹は名物の最高級のタオルを沢山
買い込む。大人三百円の坊っちゃん列車に乗ってがたごと市内を走り
松山城へ。松山城へ行くにはロープウエイとリフトがあるが、われわ
れはリフトで登る。気持がいい。眺めはもちろん、降りる時の方が断
然よろしい。松山城内へは入らなかった。
 ふなやに戻り、部屋に入る。部屋には温泉がついていた。何しろ日
本三大古湯のひとつだからもう湯の量が少くなっていて、だから部屋
での入浴には時間制限がある。一度入浴してから、夕食は新さんたち
の日本間で食べる。
 おれは焼酎を飲み、光子はワイン、新さんはビール、喜美子さんだ
けは何も飲まない。献立はまず蒸し鮑に始まり、鱧の湯引き、甘鯛の
葛打ちと白芋茎と玉子豆腐と白瓜の入った椀、そして「本日の刺身の
盛り合せ」が出た。日替りらしい。本日の刺身は鯛、太刀魚、夜泣き
貝、紋甲烏賊、鯵、虎魚。楽しみにしていたここの名物の伊勢海老の
焼物に大満足。あとは伊予牛のステーキと鱸の唐揚げ。ご飯は鯛飯だ
ったからこれを茶漬にして食べる。絶品だ。
 四人、おれたちの部屋へ移動。テラスに寝椅子がある。光子がワイ
ンのボトルを持ち帰ってきたので新さんも飲む。おれは光子が買って
きたポケット瓶のジャック・ダニエルを水割りで飲む。何やかやと話
し、新さんたちも部屋に戻り、もう一度湯に浸かり、就寝十一時。朝
が早かったので、ぐっすりだ。
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