トップへ戻る

偽文士日碌

六月五日(水):665-666

 昨夜は夫婦で「重よし」へ行き、佐藤さんに「聖痕」を手渡し、協
力のお礼を言う。美味なるもの多数を戴いて満腹、土産にはもずくを
酢の加減の教示と共に頂戴する。
 今日はえらいことであった。新聞三社が次つぎに「聖痕」の取材に
来る日なのである。まず新潮社・楠瀬啓之が二時十分前に来宅、打合
せが終ると東京新聞の石井敬がカメラマンをつれて来宅。三時には毎
日新聞・内藤麻里子がカメラマンをつれて来宅。そして四時には読売
新聞・川村律文がカメラマンをつれて来宅。入社十二年目という川村
君は「緊張のため」風邪をひいていて、それでもどうしても来たかっ
たのでという。マスクをし、汗をかき、苦しそうなので、板藍茶を服
用してもらい、何包か持ち帰ってもらう。この前ほど一度に大勢では
なかったため今日は比較的楽だったと光子。
 えらいことだったのはおれだ。同じような質問が多いのに、まった
く同じことを答えるわけにもいかず、苦労した。さらに悪いことに楠
瀬君は「波」でやった大森望のインタヴューの担当でもあり何しろ眼
の前で睨んでいるので、その回答とも重複してはならないのである。
比較的変った回答となったのは記者が女性であるだけに毎日新聞であ
ったろうか。だがいずれも面白い記事になりそうだ。しかし何を聞か
れたか、どう答えたか、ほとんど記憶にない。五時に終る。へとへと
だ。後期高齢者に何ということをやらせるのか。
ページ番号: 665 666

「次のページへ」や、「前のページへ」をクリックすると、ページがめくれます。