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偽文士日碌

十二月十九日(木):721-722

 南山宏の新訳「宇宙のランデヴー」を読み、オビの推薦文を書いて
投函。やはりクラークは凄い。最近、オビの推薦文をという依頼がや
たらに多く、ほとんどお断りしている状態なのだが、これだけは南山
宏から直じきの依頼であり、何しろクラークなので引き受けたのだ。
 今年のノーベル文学賞を受賞したアリス・マンローの「ディア・ラ
イフ」を読む。なんともナイーヴに、しかも強烈に日常を描いている
ので感心する。おれにはとてもこのようには書けないなと思う。送っ
てきてくれた新潮社に感謝。
 三時、日本経済新聞社政治部の佐藤理がカメラマン同行で東京より
来宅。この社のインタヴューをこの家で受けたのは十年以上前だ。質
問は技術革新つまりイノベーションについて。科学技術が創作活動に
与える影響は? 人間にしかできないこと、機械にもできること、機
械の助けでさらに進化するものといった区分けはできるか? 創作活
動のうち、技術で代替できない部分は? 小説の自動生成は可能か?
技術は個人が創作活動に参加する敷居を下げ、世界に発信する機会を
増やしたが、こういう状況をどう見るか? 技術革新によって新たに
浮上した個人情報の問題、デザイナーベイビーなど倫理上の問題、原
発などの制御可能性などの問題が出てきたが、われわれは技術とどう
向き合えばいいのか。全問に答えてふらふらだ。これは日経新聞の正
月から順次掲載されるインタヴユーのひとつである。
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