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偽文士日碌

四月十四日(月):757-758

 昨夜、BSでウディ・アレンの「ローマでアモーレ」を見ていたら
四つあるエピソードのうちのひとつが、なんとおれが四十年前に書い
た「おれに関する噂」そのままではないか。平凡な会社員が突然マス
コミによって有名人にされてしまい、取材攻勢に悩む。会社でももて
はやされる。最後は別の一市民が有名になって、本人は見向きもされ
なくなってしまうというところまで一緒だ。これが日本映画なら盗作
騒ぎになる筈である。小説はアメリカでも翻訳されて出ているが、ま
あウディ・アレンならいいか。許すとしよう。
 久しぶりに有馬温泉へ夫婦で一泊だけの骨休みに行く。北神戸線を
北上して有馬口へ。昨日は桜まつりとやらで賑わっていたそうだ。ま
だ桜は咲いていた。以前来た時と同じ露天風呂つきの部屋に入り、さ
っそく赤くてしょっぱい温泉に三度ばかり出たり入ったりする。夕食
にはおれが大魔王、光子が赤ワインを共にボトルで取る。仲居は顔な
じみだった。料理は赤貝、平貝などおれの好みの貝類が多い。造りは
鮃の薄造りに鯛にトロなど。伊勢海老はメニューにない特別料理だと
言って喜ばせてくれる。筍と烏賊の木の芽和えなどは家で作れぬ味。
地物神戸産のサーロインステーキを焼く。九時半に女性ふたりのマッ
サージがやってきて強烈に揉んでくれた。くたくただ。そのあとまた
飲み、気がつけば大魔王を半分空にしていた。ビールまで飲んでしま
った。これではアル中ではないか。
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