トップへ戻る

偽文士日碌

五月十一日(日)

 ひとつ年上の渡辺淳一が死んで、がっくりきている。文学賞の授賞
式で逢うだけの仲だったが、二人とも新人作家だった頃には一度だけ
対談もしている。いい男だったがなあ。
 東京で震度五の地震があったとやら。上京してみたら、長押のお守
りが落ちて軽い馬の置物が倒れていただけだった。在京中であれば光
子がどれほど怖がったことか。
 三日間ぶっ続けでミズマアートギャラリーへ行く。いろんな人が来
てくれて、たくさん絵を買ってくれた。三日目の昨夜は松野吉晃・訓
子夫婦がやってきて、また一枚買ってくれる。ギャラリーが終ってか
ら夫妻を光子、伸輔と共に神楽坂のリヨン料理店へ案内していろいろ
と話す。パデュー大学へ留学していた賀宣が東大の博士課程を終える
ために帰国するというので、今度の上京はその下宿探しだという。
 今日は世田谷文学館学芸部長の生田良秋と学芸主査の中垣理子がや
ってきて、七月十九日から九月二十八日まで開催される「日本SF展
・SFの国」の打合せをする。監修を頼まれているのである。朗読会
もやりたいというので、演目をいろいろと考える。「鬼仏交替」はも
う何度かやったし、短か過ぎるのだ。
 明日はNHKラジオが「本のツボ」を収録に来る。そのあとステー
ションホテルで一泊して神戸に帰るのである。その次の日はビーバッ
プの収録である。あまりの慌ただしさに夫婦ともふらふらである。
ページ番号: 763 764

「次のページへ」や、「前のページへ」をクリックすると、ページがめくれます。