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偽文士日碌

十一月二十八日(金):829-830

 風太郎賞の贈賞式とパーティの日だ。郡司珠子がどうしても出ろと
言うのでビーバップ収録の翌日、つまり昨日、上京したのである。四
時二十分、郡司さんの迎えのハイヤーで東京会館へ。横溝正史ミステ
リー大賞、日本ホラー小説大賞と合同の控室で誰かれと話し、贈賞式
会場で選考委員席に居並ばされ、何人ものスピーチを聞く。パーティ
会場では、今までと異り選考委員のテーブルがやけに賑わう。この日
初めてわかったのだが、なんと皆、おれが話し掛けるのを待っていた
らしいのだ。今までの孤独感は何だったのか。ふたつ隣の席にいた綾
辻行人に一日に喫う煙草の本数を訊ねたのがきっかけで、彼が立ちあ
がり、隣席へ来て今さらのように名刺を出して初対面の挨拶をするの
で吃驚。「知っとるわい」などと言いながら話し、次いで有栖川有栖
の背中を叩くと彼も立ち上がって名刺を出す。「知っとるわい」京極
夏彦が「初対面ですか」と言って驚いている。近くの席の恩田陸に話
しかけるとまた名刺をくれて挨拶。今まで話し掛けるのを遠慮してい
たが実は子供の頃からの愛読者だという人がほとんどである。その他
宮部みゆき、黒川博行など、逢ってはいるものの誰も紹介してくれぬ
ままにほとんど初対面という人大勢と話す。やれやれ、これでこのパ
ーティ、出席しやすくなった。隣席の貴志祐介と話し講談社の須田美
音と話し、署名落款本の件その他を日下三蔵、池田真依子と打合わせ
る。珍しく新名新とも逢う。また郡司さんに送られて八時半帰宅。
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