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偽文士日碌


 ついに菅原文太まで死んじまった。わが著作「わたしのグランパ」
に出て石原さとみのデビューを助けてくれたのが最後の主演映画だっ
たか。何度か共に飲食して話し、わが家にも誘って話しているが、最
後は彼がパーソナリティをやっているラジオ番組でトークをした。こ
の時は真正面から環境問題をぶつけてきたので驚かされたものだ。い
い男が次つぎに死んでいく。どうなっておるのだ。
 池田真依子が二時にハイヤーで迎え。出版芸術社へ。講談社のすぐ
近くにある、講談社の子会社が多く入っているビルであり、なんと隣
りがあの太田のいる星海社ではないか。応接室に行くと「コレクショ
ン1」が机の上に山積みされている。署名落款本が欲しいという各書
店からの依頼が殺到したのだ。出版芸術社の女性社員ふたりが手伝い
に来てくれている。原田裕会長もあらわれる。さっそく署名落款にと
りかかるが、なかなか進まない。原田さんが「落款を誰かにやらせれ
ば」と言ってくれるが、これだけはやはり自分でやらなければなるま
いと思うから続けたもののついに音をあげ、最後の方は女性社員にお
願いすることになった。途中、三度ばかり隣の喫煙室へ赴いて休息。
咽喉が乾いたので二軒隣にあるという上島珈琲からアイスコーヒーを
取り、皆で飲む。三千円の本だから、一冊サインすれば三百円などと
思いながら三時前から六時過ぎまで頑張り、約三時間半かけて百六十
冊に署名落款。ひとりハイヤーで七時に帰宅。疲れたあ。
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