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偽文士日碌

四月四日(土):865-866

 二台の車はそれまでに時には喜美子さんと啓子さんが入れ替りなが
ら三朝温泉に到着。宿は昭和天皇、今上天皇など皇族が泊られた依山
楼岩崎という温泉旅館である。おれたち夫婦は七階の音羽という豪勢
な部屋に通される。応接室や付き人用の日本間もあり、露天風呂のつ
いた部屋だ。眼下に三徳川が流れていて、対岸の河原には露天の温泉
があり、ここへはさすがに男しか入れない。全員で近くを散策する。
三徳橋を渡ってあの河原の温泉を見ると、男性が丸裸で入っていて、
恥ずかしげもなくフリチンで岩に腰掛け煙草を喫っているので、女性
たちも大笑い。温泉本通りでは藤井酒造に立寄り、ノンアルコールの
白酒やロンドンのコンテストで一位となった日本酒などを振舞われ、
おれたちは長芋の焼酎や電球に入った酒などを買込む。
 露天風呂に二度浸かって、夕食は六時半から八人が二階の花ぐるま
という部屋でとる。啓子さんが持ってきたビンテージもののドンペリ
を開けて乾杯。光子と裕君は赤ワイン、おれはさつま白波を飲む。篤
君は飲まない。料理は食前酒がさくらんぼ酒で、若草湯葉豆腐と白魚
に蛤のぼんぼり寿司、伊勢海老の姿造りに県魚の平目、縞鯵、雲丹、
甲烏賊など。他にのど黒の蕗味噌鍋、鮑の酒盗焼き、桜海老のかき揚
げなど。最後にオレイン55という鳥取和牛ステーキが出たがさすが
に食べられず、悠平君に助けてもらう。
 食後はおれの部屋の応接間に全員集り、新さんの思い出話などに花
を咲かせて十一時半まで。就寝十二時。
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