トップへ戻る

偽文士日碌

八月二十八日(金):893-894

 まだ発売の十日も前だというのに、AMAZONの雑誌ランキング
で「モナドの領域」が総合・文芸の四位、文芸の一位になった。ツイ
ッターの効果恐るべし。矢野君からは「新潮」十月号の表紙の写真が
送られてきた。非常識なでかい字に驚愕する。
 新潮文庫の石戸谷渉と装幀部の篠崎健吾が来宅。「聖痕」の表紙の
打合せと校正である。「旅のラゴス」が馬鹿売れし続けている不思議
についてもいろいろと話す。石戸谷君は「波」の最新号も持って来て
くれた。矢野君がいつものようではなく誇大におれと「モナド」だけ
を褒めているので、他の作家が怒らないかと心配だ。
 夕刻、伸輔一家が来る。上野の博物館へ行って来たと言う。恒至は
一年ぶりである。背が伸び、よく肥り、声が変ってしまい、一瞬伸輔
と見分けがつかなかったのだが、すること、なすすべは子供の時のま
まなので、相対的に小さくなったガラス食器を乗せた食卓に勢いよく
ぶつかるので、物騒でしかたがない。敬語も使い、ずいぶん話が面白
くなってきた。伸輔とは「聖痕」の表紙の相談をし、決定する。夕食
は伸輔と智子夫婦が紀ノ国屋で買って来てくれた旨いものを全員で食
べるが、今や食卓が小さくなってきているので困る。恒至は塾の夏期
講習が終り、明日から通常の塾が始まるとやらで、一家は九時半頃帰
る。明日は神戸に帰らなければならないが、山口組が分裂したらしく、
新幹線の中で撃ち合いでも始まれば大変なことだ。恐ろしや。
ページ番号: 893 894

「次のページへ」や、「前のページへ」をクリックすると、ページがめくれます。