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偽文士日碌

九月八日(火):895-896

 昨日は岸川真と「週刊文春」の中本克哉、カメラマンの釜谷洋史が
来宅。グラビア「時は金なり」の取材と撮影である。時計、財布など
を撮られる。これは九月二十四日発売の十月一日号に掲載される。
 岸川君は「モナドの領域」を読んだばかりであり、過分に褒めてく
れた。「ついにこれを書いてしまったかと思った」「今はもう何も言
えなくなった」などと言う。
 今朝は矢野優から発売状況の報告と共に、諸氏のツイッターなどで
の発言をまとめてメールしてくれていた。その中には佐々木敦のもの
もあり、「読み終えた。今はまだ何も書きたくない。ただ、百五ペー
ジ下段5行目から8行目を読んだとき、どうしても涙を抑えることが
出来なかった」「衝撃力よりも、読み進める間にじわじわと効いてき
て、読み終えた後もずっと発酵し続ける作品だと思う」と書いてくれ
ている。岸川君も「最終駅に連れて行ってしまう点で憎たらしくも悲
しくさせ、脱帽させて、ありがとうとしか言わせぬ小説である」と書
いていた。
 六時半、文藝春秋の田中光子がわが夫婦を迎えにきてくれて、麻布
の中華料理「春秋」へ行く。吉安章と山田憲和が先に来ていた。久し
ぶりの歓談。ここの名物は半熟ピータンやフカヒレの姿煮込みなどで
ある。全員、紹興酒を飲む。皆「モナドの領域」を読んでくれていて
言葉を尽して褒めてくれる。帰宅十時。
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