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偽文士日碌

四月二十三日(土):947-948

 川上弘美がうまいミニトマトを送ってくれたので、礼状を書く。ま
だ「大きな鳥にさらわれないよう」というタイトルが決まっていない
うちに書かされた解説がよほどお気に召したようなのだが、「うちの
めされた」のは事実である。 
 被災地の避難所で、あまりにも無遠慮な報道陣を怒鳴りつけた男性
がいたらしい。報復的に報道されるとわかっていながらカメラに向っ
て怒鳴りつけたのだからえらいもんだ。被災者すべてが共感したこと
だろう。マスコミもこれを報道しなきゃ報道の自由はないぞ。
 新潮社の岑裕貴が、島田雅彦、夕刊フジの伊坂牧生、リベロの丸上
直基、カメラマンを引き連れて来宅。特に煙草についてのみ話さなく
てもよく、煙草を喫いながら気楽にしゃべっていればいいらしいので
島田君と自由に喋る。いつもならおれが煙草をくわえていると撮影を
控えるカメラマンも、今日だけは「煙草を持ってください」などと言
うのが面白い。喫煙歴、最近の喫煙マナー、俳優歴、宗教のこと、昔
の作家のこと、マリファナのこと、その他その他と話題はあちこちに
飛んで面白かった。岑君には谷崎の解説を渡す。手みやげにハムやべ
ーコンの詰合せをくれたが、これは有難かった。
 深夜、「復刊ドットコム」の校正と「コレクション」の署名落款を
完了。明日の発送となる。やれやれである。明日は五十一回目の結婚
記念日。こんなに長く同じ女と一緒にいたのは生まれて初めてだ。
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