ゴールデンウィーク中もあちこちからメールがあり、署名落款用の
本が到着し、仕事は絶えなかったのだが、やっと自分の時間ができた
ので、読みたかった本を何冊か読む。まずは水声社から送られてきて
いた十何冊かの本の中からバルザック「二人の若妻の手記」を読む。
フランス革命そのものを書かずにフランス革命を描いているというの
が面白い。膨大な借金を返すために膨大な原稿を書き続けた作家であ
りながら、そんな慌てた様子はまったく伺えないのがバルザックの偉
大さであろうと、変なことに感心する。次いでおれが風太郎賞を与え
た窪美澄の「アカガミ」を読む。「想像を絶する結末に、あなたは驚
愕する!!」という惹句なのだが、途中から結末の想像はつくのであり、
むしろこの先が読みたくなった。と言うか、自分で書きたくなった。
新書大賞第一位になった「京都ぎらい」も読む。この著者・井上章一
の三十年以上前の処女作「霊柩車の誕生」をおれは書評し、その後祇
園の料理屋で小松左京や京大の教授たちとご一緒した折にさりげなく
謝意を述べられたことを記憶している。そして現在はやはり水声社の
「バルガス・ジョサ自伝」を読みはじめている。
山下洋輔が熊本・益城町の文化会館で公演する予定が、震災のため
中止になったというスケジュール表をネットで見てほっとする。とい
うか、なんでもっと早く中止にしなかったんだろうと不思議である。
六月二日、神楽坂la kaguでの佐々木敦との公開討論決定
ページ番号:
949
950
「次のページへ」や、「前のページへ」をクリックすると、ページがめくれます。