トップへ戻る

偽文士日碌

六月二日(木):955-956

 連日、署名落款やゲラ直しに追われ、あちこちから言ってくるトー
ク・イベントや雑誌のわが特集に関するメールや手紙などに答えてい
る暇もない。蓮實重彦「伯爵夫人」の書評もあるしなあ。
 昨日は矢野優が署名落款をした大量の本を取りにきてくれて、今日
はその本を即売もする佐々木敦との対論である。彼からレジュメは届
いたものの、ずいぶんハードな内容で困惑。しかしイベントのたびに
何度も足を運んでくれているわが読者に、いつもと同じような答えは
できない。などと思っているうちに今日はその当日であり、六時前に
矢野優がタクシーで迎えに来る。まずは新潮社のビルの中の重役の会
議室へ通され、佐々木君が来て、軽く打合せ。七時になり、隣のビル
のラカグへ。もとのビルに隅研吾がデザインしたというのだが、いっ
たいどこをデザインしたのか。壁面はコンクリート打ちっぱなしのま
まの殺風景さである。二階の会場はすでに満席。佐々木君と登壇して
まずは挨拶。光子が言ったことを紹介する。「可哀想ねえ。あなたは
ただ、面白いことを思いついて、それを面白がって書いているだけな
のに、こんな難しい質問をされて」
 佐々木君は新潮社より出版された作品縛りで質問してくれ、今まで
と違った答えになった。佐々木君に感謝。八時半、無事終了。控室で
一服。矢野君に加えて楠瀬君、岑君、聞きにきてくれていた角川の郡
司さん、講談社の須田さんたちとしばし歓談。帰宅九時半。
ページ番号: 955 956

「次のページへ」や、「前のページへ」をクリックすると、ページがめくれます。