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偽文士日碌

七月二十八日(木):971-972

 復刊ドットコムの澤田勝弘から、「トワイライト・オブ・トーキョ
ー」を本にしたいと言ってきた。これは一九六九年に深井国が「漫画
サンデー」で連載した、小生の初期の諸短篇を漫画化したもの。幻の
作品と言われてきたものだが、最初に実業之日本社が本にしたいと言
ってきた時、ビアズリーのような絵だからオールカラーにしろと無茶
を言ったためお蔵になったものだ。さてどうしたものか。オールカラ
ーにしたりすれば万を越す画集並みの価格になってしまう。しかしモ
ノクロではなあ。
 夕刻より光子とサントリーホールへ行く。山下洋輔スペシャル・ビ
ッグバンド十周年記念コンサートである。席は玉木正之夫妻の隣だ。
今朝がた生出演の彼を見たばかりだと言うと、あれからもう一局まわ
って出演してきて、これが終るなりもう一局行くのだと言う。オリン
ピックやロシアのドーピング問題で大忙しなのである。リオへは行く
のかと訊くと、「いや、リオへ行ったらオリンピックが見られないか
ら」と言う。なるほど。テレビなればこそ各競技場を、強盗にも遭わ
ずに見られるのだ。彼は今オリンピック関連で日経新聞書評欄に連載
をしていて、その切抜きをくれた。おれの短篇で「走る男」というの
があるのだが、と言うと、勿論彼は知っていた。他にも懐かしい人た
ちがやってきていろいろと話す。
 開演前に「この建物は地震でも大丈夫です。揺れても、席はお立ち
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