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偽文士日碌

八月三日(水):975-976

 誰かがツイッターで「また筒井が悲しむな」と書いていた。その通
りだ。おれよりずっと若い柳瀬尚紀が死んだ。毎回言うことだが、歳
下の人に死なれるのはショックであり、こんな悲しいことはない。彼
とは何度も逢い、「突然変異幻語対談」なんてものもある。「筒井康
隆の文芸時評」では解説を頼んだ。会って話していると面白かった。
なんとなくエノケンに似ていて、平気で舌を出したりする。すばらし
い個性であり才能だったのだ。もちろん「ユリシーズ」など彼の翻訳
した本はすべて持っている。ああ悲しやなあ。悲しい悲しい。あと何
度こんな悲しい目に会うのだろう。
 ビーバップの収録日である。チュートリアルの福田君が結婚したこ
とを知る。目出度し。一本目は「知られざる“世間”の実態」で、世
間様という概念があるのは日本だけ、だから謝罪会見というものがあ
り、外国にはない。日本で犯罪が少ないのはこの世間のおかげで、外
国では世間ではなく、対峙するのは神である。いちいち納得。
 二本目は「老化を防ぐ血管力」。おれの血管年齢を計って貰うと七
十二歳だった。実際より十歳若いわけだが、どうせ老化はしておるわ
けで、この歳になるとそれくらいで嬉しがったりする気になれない。
焼酎をがぶがぶ飲み、煙草は好きなだけ喫い、いつ脳の血管が破裂し
てもおかしくないという状態の生活を送っている。こう考えればやは
り身体に一番悪いのはストレスだということになる。
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