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偽文士日碌

十一月十七日(木):1003-1004

 二時に朝日ネットの森田真基が、懐かしや昔の朝日ネットの社長・
島戸一臣と一緒に来宅。「朝のガスパール」時代の昔話に花が咲いた
り、文学オリンピックなどというとんでもない企画で盛り上がったり
と、一瞬昔に戻ったかのような時間であり、実に楽しかった。
 四時、星海社の太田克史が部下の石川詩悠をつれて来宅。星海社新
人賞を取った「ビアンカ・オーバーステッブ―神の世界に月はない―」
のゲラを持って来ていて、今後のことをいろいろと相談する。まだペ
ンネームをつけていないので今のところ名前のないその作家の担当が
石川君なのである。八百枚もの大冊なので、上下巻にして出すとのこ
と。作家が大阪在住なので、編集部はまだ誰も逢っていないのだそう
だ。おれにはオビを頼みたいとのことだが、実は八百枚という長さに
恐れを抱いて、まだ最初の方しか読んでいないのだ。星海社編集部の
新人賞選考座談会を読み、だいたいの内容がわかったので、これなら
大丈夫だろうと思い、星海社の連中を信じて出版を許可したのだ。し
かしオビを頼まれたからには全部読まねばなるまい。本の出版が三月
でオビの締切は一月とのこと。それにしてもこの人は、オリジナルで
SFが書ける力量を持ちながら、なんで「オーバースタディ」の続編
を書こうなどと思い立ったのか。少しでも多く売れる作品をと考えた
のだろうか。いろいろと相談しているうちにまた昔のフレーズを思い
出してしまった。太田が悪い。
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