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偽文士日碌

三月三日(金):1025-1026

 原則屋内禁煙の法案が提出され、通過すると予想されている。なん
でオリンピックで禁煙になるのだ。居酒屋の多くは「うちの客の八割
が喫煙者だ」と言って困っている。それならいっそ「喫煙者オンリー」
にすればどうか。他の店からも客が来て、喫煙者が十三割の店になる
ぞ。だいたいおれの周囲でばたばた死んでいくのはたいてい非喫煙者
なのである。これはもともとからだのどこかが悪いから、喫煙したく
てもできなかったのであろう。死亡率が喫煙者より高いのは当り前だ。
 午後二時過ぎ、田路君のリムジンでホテルオークラ神戸へ。「週刊
ポスト」の対談だ。「SAPIO」に載った安楽死に関するエッセイ
が尼崎の長尾クリニック院長・長尾和宏の眼にとまり、是非対談をと
申し込まれてしまったのである。対談の部屋まで行くと、なんと「週
刊ポスト」の連中が、デスクの酒井裕玄を含め東京から五人も来てい
た。おおかたわしの老いた姿を見るための遊山か。わが愛読者でもあ
る長尾氏からは著書「平穏死10の条件」「薬のやめどき」「痛くな
い死に方」を頂戴する。
「文藝春秋」の安楽死特集のアンケートで認識不足の人が多く見られ
たことなど、意見の一致は多い。他方で、モルヒネというものが世間
で言うほど恍惚感を与えるものではないと聞き、いささかがっくり。
精神作用としてはおれが最近まで服用していた睡眠薬のデパスとたい
して変らないらしい。対談は三時から四時過ぎまでかかり、わしがギ
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