トップへ戻る

偽文士日碌

四月二十三日(日):1041-1042

 日本唯一の怪談専門誌と謳っている角川の「幽」という雑誌から頼
まれていたエッセイを「山田風太郎と明治物」と言うタイトルで郡司
珠子に発送。これは「幽」の二十七号に掲載される。
「教育勅語」が問題になって以来、「朕思わず屁を垂れて、汝臣民臭
かろう」というろくでもないパロディが、以前おれの書いたパロディ
として取り沙汰されているようだが、これはおれが生まれる前からあ
ったパロディだし、パロディとも言えぬ平凡なものだ。こんなものわ
しが書くわけなかろう。おれが「狂気の沙汰も金次第」(昭和四十八
年)で書いた「教育勅語」のパロディ、正しくは次のようなものであ
り、ここに改めて採録しておきます(括弧内は原典の現代語訳)。
 狆思うにわがこそこそ肉食いはじめること公園で(朕惟うに我が皇
祖皇宗国を肇むこと宏遠に)、徳利立つること深刻なり(徳を樹つる
こと深厚なり)。わが蕁麻疹、よく中風、よく荒淫、奥さん行李を質
にしてよよと泣き伏すは、これわが極道の成果にして、凶悪の円タク
また故障で損す(わが臣民、よく忠によく孝に、億兆心を一にして世
々その美をなせるは、これわが国体の精華にして、教育の淵源また実
にここに存す)。汝貧民、父母を絞殺(汝臣民、父母に孝に)、刑法
で有罪、夫婦はイワシ(兄弟に友に、夫婦相和し)、抱擁大珍事、狂
犬おのれを噛み(朋友相信じ、恭倹おのれを持し)、迫害周囲に及ぼ
し、悪をおさめ狂を習い(博愛衆に及ぼし、学を修め業を習い)、以
ページ番号: 1041 1042

「次のページへ」や、「前のページへ」をクリックすると、ページがめくれます。